【SUPER BEAVERを聴くきっかけ(割と不純な動機)】
・むかしむかしマッチングアプリを利用していたとき、マッチングして程なく会うことになった人が熱心なSUPER BEAVERファンということだったので、話題を確保するために予習としてSpotifyで「駱駝革命」のセトリを一通り聴いてみたら、これが大変良かった。
・実はSUPER BEAVER自体は去年の地元の夏フェス(JOIN ALIVE2024)で見たことがあるのだけど、SUPER BEAVERの出番は夜遅くのヘッドライナーだし、直前の出順の日食なつこの熱狂で完全に燃え尽きてしまったしで、残量ゼロのスタミナで目の当たりにしたSUPER BEAVERオンステージの印象はあまり強いものではなかった(←思い返してみたらすごく勿体ないことをしている)。
.png)

・おお、歌詞が熱いな。ボーカルの人のカリスマ性すごいな、煽り方も達者だな、ギターの人は普通に岩見沢駅周辺を歩いてそうな良い兄ちゃん感があるな、ベースの人のコーンロウいかついな、ドラムの人の「SLAM DUNKの世界から飛び出してきた」感すごいな、くらいの印象であった。
・しばらくはそれくらいの認識だったのだが、前述の通り「駱駝革命」のプレイリストを通して聴くと、SUPER BEAVERへの見え方がより具体的に浮かび上がってきた。非常に大きな熱量を持った歌詞が1曲や2曲だけなく、10曲、15曲と全編通して一貫した態度として提示されており、自分の人生や世の中の曖昧さ、割り切れなさを慈しむ心、綺麗事へのアンチテーゼを表現する「ことば」が、強く、しつこく、徹底的にぶつかってくる。清々しいほどに聞き手へ正面突破を図ってくるそのスタイルに、えっ、SUPER BEAVERの音楽凄くね!?(遅い)と非常に強い感銘を受けた。
・ちなみにマッチングアプリで出会ったSUPER BEAVERファンの人には初回のアポを終えてから敢えなくフェードアウトされて、そこにはSUPER BEAVERにハマった33歳のおじさんだけが残った。
おかしいなー、SUPER BEAVERにまつわる会話は大層盛り上がったんだけどなー(棒)
美味しい料理を一口ずつ食べる度に、笑顔の藤原さんの顔真似をしたのが良くなかったのかなあ(たぶん問題は別にある)
♩あっという間に終わってしまうよ(出会いが)
・もっとも、この機会でSUPER BEAVERに寄せた興味関心をすぐに枯らせてしまうのもそれはそれで癪(しゃく)なので、もう少し幅広く曲を聞いて理解を深めたり、欲を言えばワンマンライブに行ってみたいなーと思った矢先、渡りに船で20周年記念フリーライブに当選した。
.png)
・フリーライブだけあってXで観測した落選報告、そこからはじき出されるも当選確率の低さも相当なものと思われる。もし2人分で申し込んだらたぶん落選してたね!(←強がりで捻り出した自分のことばに耐えきれず思わず吐血し、その血を吸った大地からリュウケツジュが生い茂る)
【ライブの予習:「あなたと生きる『ことば』たち」を読んでみる】
・ひとまずはライブまで曲を聴き進めつつ、調べるとSUPER BEAVERの歌詞展「あなたと生きる『ことば』たち」が開催されるようなので、このイベントに行ってみることにした。
.png)
.png)
.png)
.png)
・フロアには本の冊子を模したパネルの組があえて無秩序に林立しており、パネルにはピックアップされた曲の歌詞アート、バンドの各時期を振り返る柳沢さんのエッセイ的回顧が記されていた。
その中で特に、柳沢さんのエッセイ部分で以下の部分が個人的に短歌への関心が高いこともあり印象的だった。
「5・7・5、及び、5・7・5・7・7のリズムはやっぱり現代の日本語にも合っているし、何より日本人が文化として触れてきた旋律や拍であり、無自覚にしっくり来るんだろうなあと思う。」
SUPER BEAVER 「あなたと生きる『ことば』たち」 エピローグ
完全な5-7-5の形こそ少ないが、「アイラヴユー」の「アイラヴユーを(7)–歌いたい(5)–愛してる(5)–愛してる(5)」の心地よさなんかはその典型のように思われる。
・同名の書籍も購入。税込5,940円と書籍としてはお高めだが気にしない。なぜならライブが無料だから。
.png)
・書籍の方はパネルにも記載されていた柳沢さんのエッセイと、数曲の歌詞が一章ワンセット、全4章からなる構成となっている。これを実際に曲を流して読み進める。
・SUPER BEAVERにハマり始めて日が浅いので比較的最近の曲しか知らなかったのだけど、「ヒカリ」等の初期曲は音作りにかなりアジカンの雰囲気を感じさせて興味深い。
・どの曲も書籍で文字起こしされると歌詞に新しい味わいが生まれて魅力的だが、特にSUPER BEAVERを感じたのは「正攻法」。
♪正直者はいつだって 馬鹿のその先を見ている
「正直者は浮かばれる」ではなく、「正直者は馬鹿を見る(断定形)」という表現でも済ませない。いつだってSUPER BEAVERは理想主義ではなく、卑屈にくるまれた仮初の現実主義でもなく、高純度な真の現実主義を歌っている。
・歌詞と音の調和という観点で惹かれたのは「361°」。
曲中の転調がお見事すぎて思わず椅子から転げ落ちそうになった。(危険なので実際は椅子から転げ落ちてはいない)
360°を経て361°の位置に立ち、さらにその次に進むのだから、そりゃその度に転調だってする。こんなに歌詞と美しく調和した転調にはそうそう出逢えない。(さりげない韻踏みも気持ち良い)
・あとは「らしさ」。
冒頭の「自分らしさってなんだ?」の直後に2拍分ほどの無音のタメを作って、その問いかけの本気度を強調している。これも歌詞と音の美しい調和であると感じた。
・歌詞展に行って書籍を購入したのがフリーライブ3日前で、「あなたと生きる『ことば』たち」掲載曲だけでも70曲を超えるので、結果的には勿論ぜんぶ予習するまでは至らなかった。
しかしながら、この本を通してSUPER BEAVERの曲は一つひとつに大切な「ことば」がギュッと詰め込まれていて、それを音を通して感じれば良いということを理解し、実際のライブで初めましての曲に出会ってもそれさえできていれば心配ないという安心感を得ることができた。
【ワンマンライブ参戦】
・ということで代々木体育館のワンマンライブへ。
当方のNo.1フェイバリットアーティストであるL’Arc~en~Cielのライブ会場には野生のteっちゃんが沢山いるが、SUPER BEAVERのライブ会場ではもっと沢山の野生の渋谷さんがトイレの待ち列に並んでいた。
.png)
・ライブの率直な感想:ワンマンライブで見たSUPER BEAVERの盛り上がりは、去年の夏フェス(JOIN ALIVE)で見たSUPER BEAVERとは全くの別物だった。夏フェスも凄かったけど、ワンマンライブは正直レベチだった。
↓これが夏フェスで見たSUPER BEAVERオンステージの盛り上がりだとしたら、

↓ワンマンライブのSUPER BEAVERオンステージのイメージはこんな感じ。冗談抜きで脳みそが爆発するかと思った。

・「ことば」主義のバンドのライブはとにかく渋谷さんが「あなた」を煽って煽って歌いかける。1万2,000人の「あなた」が負けじと叫ぶように歌う。
1曲目「名前を呼ぶよ」から全力で「ことば」の差し合いが繰り広げられ、曲を追うごとに「ことば」の応酬が大きくなる。最後の「切望」がかかった頃には代々木体育館の高い天井を取り巻く空気が「うねり」となって大きく渦巻いて、クライマックスの「そこに気持ちの往来」でその空気が大爆発した。※比喩表現 ※消防法遵守
・曲単位では「まなざし」の冒頭のアレンジが印象的だった。渋谷さんのMCとともに藤原さんがダンサンブルなバスドラムで手拍子を誘うリズムを作り、柳沢さんのコーラスによる打ち込みメロディの再現は音源にも増してポップな雰囲気を出していた。それでいて最終的には「継なぎたいのは心意気だ」の意気ある「ことば」に収束する。(「繋ぐ」じゃなくて「継なぐ」なのが良いんだよなあ)
・MCで渋谷さんが放った「21年目の新人、よろしくお願いします」というフレーズも胸に刺さった。確かに新人の心づもりはいつ持ち直したっていい。
このライブでホクホクした気持ちを胸に携えて、社会人11年目の当方も「11年目の新人」のつもりでまた週明けから頑張ろう。
・かえすがえす、初めて参戦したSUPER BEAVERのワンマンライブは最高に最高だった。今回は昼夜二部制のフリーライブということもあり60分尺のコンパクトなセトリだったけど、今後はきちんと責任(=本来のチケット代)を払ってフル尺のライブにも必ず参戦したい。
.png)
【お会計】
・チケット料:¥0
・イープラスシステム利用料:¥220
・企画展「あなたと生きる『ことば』たち」:¥500
・書籍「あなたと生きる『ことば』たち」:¥5,940
・ライブ物販(Tシャツ、タオル):¥6,300
-1.png)
総計:¥12,960
無料とは。(めちゃくちゃ楽しかったからヨシ!)
以上
コメント